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10A超級昇圧充電システム:Zero System

 これまでLT社のLT1270を使用した昇圧充電でサブバッテリーを運用しています。
現状ではLT1270で不都合は無いのですが、以前MC34063Aを使った昇圧DCDCコンバーター回路は2A強で失敗しました。これを見かねて同郷の士松山の零さんより助け舟を頂きました。

零氏は既に5ADCDC昇圧回路でPIC制御で3年ほど運用されていました。今回パワーアップし一緒に作りませんかとお誘いを戴き様々な資料を戴き、私だけのものにすることなく、公開する事にしました。WEB上では初公開となる、ノウハウも多数含んでいます。
 最近の充電制御、省エネ省燃費車にも対応したサブバッテリーシステムの参考になると思います。

 記事はZero氏オリジナルを尊重し、原資料をPDF化したものも掲載しています。
 
なお車載サブバッテリに関する関連調査し、まとめたもの資料を頂きました。
  車載サブバッテリーについての考察。【零サブバッテリーレポート】
  詳細に調査し系統的にまとめられています。何故10A昇圧充電システムが必要なのかご理解いただけると思います。
  
この記事は "松山在住の零さん"のご好意により公開するものです。基本的に著作権等は同氏にあります。
商用使用、無断転載等禁止致します。

この記事は2014年1月8日~最終更新2021/01/18 
難易度5: 
★★★★★

 ★ 昇圧型DCDCコンバータ

2010年から運用中の”零”昇圧回路2号機
”零”昇圧回路2号機
中央がクランプ型フェライトコアを使った昇圧コイル

トロイダルコアはノイズフィルター用

半固定ボリュームが二つ。電圧設定用と過電流制限可変用。


右側にSBD(ショットキーバリアダイオード)と
NMOSパワーFET

DCDC用ICはNJM2360Aを使用。

部品点数は少ないし、全て低価格なもの。
 
picコントローラーを含む
2号機総合回路図。

Picマイコンで組上げたサブバッテリ-システム。
 
1号機完成し、運用開始したもの。
現在は2号機で上の画像の2号機基板。

以下3号機 開発中に至る。

2014/05~
10A級昇圧方式サブバッテリー走行充電システム PIC版で運用
 
 
 ★新たに変更した10A昇圧ユニット

 私が失敗したというか、10A以上を達成するに付いて、必ず考慮にいれなければならない事項を解説して頂きました。

左図は参考回路図です。
私が試作失敗した回路。
☆10A達成の要素は☆
  電流制限回路
  発振周波数
  パワーCMOS FETドライブ
  昇圧コイル
上記、それぞれの箇所の回路、部品を検討し、設計しなおした。資料はMC23063A、NJM2360Aデータシート、アプリノート。
今回改良した10A級回路

インダクタの測定

参考パーツリスト
殆ど秋月電子で。
プリント基板図(表面)
(試作ユニバーサル基板図)

参考プリント基板図
参考プリントパターンです
(暫定版)
2.54ピッチユニバーサル基板72*95サイズ

空白部分はマイコン制御搭載予定部分です。
matrasan製右側は測定用入出力シャント抵抗と入出力電圧計 完成テスト中 右は零氏製作のテスト中の基板。
左はmatrasan製作測定用シャント抵抗、電圧計を仮付け。
巻き始側 巻き終わり側 フェライトコアLF-130Bを使用します。
ノイズ除去用クランプ式コア。130グラム。
1.2φポリウレタン線を片側づつ巻く。左右対称。8回通過。磁気飽和を防ぐ為1mmギャップスペーサーを挟み接着。スペーサはガラスエポキシ基板の端切れ使用(砥石で削りノギスで測定)、2液混合エポキシ接着剤など 
接着前 底面より 二重巻き線となる為大電流が流せます。リングコアより巻きやすい。下面がフラットなので基板と密着出来ます。  
1.2mmポリエステル銅線
  大電力測定はプロ用途では高価な測定機器です。
これは簡易的な測定法ですが充分正確で実用的です。電子式負荷でなくてもOK。
本測定法では電源からは負荷抵抗とコンバータ損失分を供給すれば良いことになります。シャント抵抗は20m2Wチップ抵抗を使用。
計器は一般的なデジタルテスター100mV又は200mVレンジ。極力4台使用しなければ大電流時には負荷抵抗の発熱による抵抗値変化による、テスターの切替時間が間に合わなくなり、不正確な測定になる。
注:線路抵抗分を測定しないようシャント抵抗の直近でなければなりません。クリップの接触抵抗に注意。テスターリード線にもノイズが乗らない様にフェライトコアフィルターを通す、回路とループを作らぬ様にするなど注意が必要です。
測定法解説PDF
測定法解説補足
電流電圧特性
自作ステンレス線負荷抵抗器
材料は7センチ角の陶器製100均花瓶
5オーム5Wと1.6mmステンワイヤー
3mmビスナット
下部に穴を開けて3mmビスナットで一ひねりして固定。実験用なのでステンレス用半田、溶剤は不使用。
20tで約3Ω程度。下から角部を押し付けながらしっかり巻く。緩んだ部分はラジペンで絵の様に捻り上げる。

上部は穴あけ失敗しエポキシ接着剤で修復。ミノムシクリップは10A耐久テストでは溶けてくる。5A以上の測定域は5から6ターン。電圧差が少ない時は1t程度で10Aとなる。
温度が安定してから読取る。
本当は電子負荷を作れば良いと思う。
入力電圧 入力電流 出力電圧 出力電流 効率
         
         
 効率=出力電流*出力電圧/(入力電流+出力電流)*入力電圧

エクセルの表をあらかじめ作っておき出力電流毎入力する。
今回新たに購入した12V20Aパネル用電源
中華製。電圧調製VR1KΩを外付けしました。10.6V~14.6Vまで可変できます。
ついでにLED電圧計とテスト用8cm冷却ファン。
40年前1974年購入のDAIWA PS-51XMも記念撮影。3A位でプロテクターが働いてしまう。修理すればまだまだまだ現役続行出来そう。
他にもATX電源の12V10Aを使ったが出力電圧可変の改造は出来なかった。
 測定風景

左からK型熱伝対の温度計(自作発酵器温度調節器)
液晶簡易オシロ(秋月電子キット組み立て)私には充分。無いよりはまし。
8cm冷却ファン
テスト中の昇圧基板
上は電流計(シャント式)上記測定法による
右テスター入力電流計
テスターは100mV又は200mVレンジ使用
基板上に仮設入出力電圧計。これはノイズでふらつき後に撤去し、テスターで測定に変えた。
 matrasan 追試の測定値(12VATX電源電圧固定)低電流域では効率は悪化している。原因はインダクタンス値や、コンバータ自体の消費電流があるが用途上大きな問題ではない。

いずれもPC用古いATX電源を使用しました。入力電流3.48Aで0.3Vの電圧降下がある。

スイッチング周波数は簡易オシロのカウンター機能を使用。ノイズが乗って高めに表示される。(上の測定風景のコア左の赤黒ミノムシクリップ)

各部温度上昇測定値
出力電流10A時  (室内温度21.0℃)
アルミ放熱ショットキーD 63℃
同FET部はダイオードより低い
コア内部63℃
入出力コンデンサ65℃
電流検出チップR 98℃(耐用温度150℃)
ファンで冷却すると何れも35℃以下になります。

コア鳴きが耳に付いたのですがエージング10A連続運転を繰り返すと消えてしまい聞こえなくなりました。原因は不明。
昇圧コイル。パッチンコア4分割巻き
オリジナルとは別に実験用にもう1台製作した。
左右蜜巻きをほぐすと効率がよくなった気がして4分割してみた。結果は数%の測定値が向上した。と思っていたのが洩れ磁束が増加したのか測定用機材にノイズが乗りたまたま好結果の数値が出たかも。
この後テスターや測定用プローブにはコアフィルターを入れる、入出力に帯域の違うパスコンを多数入れるなど対策し再測定が必要となった。
零氏からは3重巻きのテストを要望。一旦接着したものを衝撃を加え再分割したのが特性劣化したかも。f値も低くなっている。L値簡易測定について
 トロイダルコア2段、2重巻き

壊れた20A中華製スイッチング電源から部品取りした8tそのまま使用インダクタンス不明スイッチング周波数より10uHくらいと思われる。
コア鳴きと10A時の激しいコア自身の温度上昇があり、コア損が高いと思われる。(1.4mm銅線は発熱は少ないが)連続使用でなければ充分使用に耐えられる。。このままでも90%以上の効率は得られた。使えないことは無い。
オリジナルパッチンコアの優秀性を見直す結果となった。しかし、ギャップやインダクタンス最適化を探るとさらに性能の向上があるかも。
秋月電子で売られている中で最大電流が流せると思われる140uHトロイダルコイルP-06921\300-で試作してみました。12ターンに巻き数を減らす。(実測15uH) 結果はまずまず。価格は倍だが、メリットは巻き数を減らすだけなのでお手軽。基板高さが低く抑えられる。(下表の性能比較はしていないが10A程度まではテストではなんら問題はなかった)

基板の画像は後日、基板右側にソフトスタート機能付加したNch Mos PowerFETACCスイッチを追加したもの。
左側がオリジナル基板。

右側が4分割巻き通過8T出力コンデンサー変更。2階基板は測定用入出力シャント抵抗

特にL値変更(値不明)による効率回復。
大出力時の温度上昇の改良 

4分割巻きは5mm以上基板の高さが増える。
再度、比較測定しました。

オリジナル
4分割巻き8ターン、低ESRコン

2%程度の向上は確認できましたが2分割巻き(2重)で十分かと思われます。4分割巻は基板高さが高くなる。
4分割巻き8ターン(通過8t)、低ESRコン 

多分理論上上限値に近付いているとの事。

各部温度: 10A1時間以上連続運転後、室温18℃。

温度測定結果:
MBR3045-ネジ頭50℃、カソード脚73℃
出力C 56℃ (2個をテープで包み測定)
コア内部温度 60℃
パワーFET ほんのり暖かい程度

後日7ターンもテストしました。結果は全域平均-0.84%となり8ターンが最適となりました
4分割巻き通過8ターン 2013/1/18
出力電圧、入力電圧固定
出力電流 0~10A
入力電圧 入力電流 出力電圧 出力電流 効率
13.00 6.6mA 16.00 0 #DIV/0!
13.04 0.12 16.00 0.44 96.4%
13.03 0.30 15.99 1.15 97.3%
13.02 0.55 15.99 2.08 97.1%
13.00 0.81 16.00 2.99 96.8%
13.00 1.13 15.97 4.08 96.2%
12.97 1.51 16.00 5.14 95.4%
12.96 1.78 15.99 6.00 95.2%
12.94 2.08 15.99 7.17 95.8%
12.93 2.37 15.95 8.09 95.4%
12.92 2.74 15.94 9.17 95.0%
12.89 3.08 15.92 10.22 94.9%
12.87 3.44 15.91 11.22 94.6%
12.85 3.85 15.89 12.34 94.3%
平均 95.7%
  4分割巻き通過8ターン。




最終版の結果です。
SRG4215 2013/1/19
出力電圧、入力電圧固定
出力電流 0~10A
入力電圧 入力電流 出力電圧 出力電流 効率
13.05 19mA 16.00 0 #DIV/0!
13.05 0.14 15.99 0.39 90.2%
13.04 0.35 15.99 1.20 94.9%
13.02 0.58 15.99 2.02 95.4%
13.01 0.88 15.98 3.05 95.3%
13.00 1.17 15.97 4.07 95.4%
12.99 1.52 15.96 5.09 94.6%
12.96 1.84 15.96 6.06 94.5%
12.95 2.20 15.96 7.09 94.1%
12.93 2.58 15.94 8.08 93.4%
12.91 2.96 15.93 9.05 93.0%
12.88 3.64 15.96 10.52 92.1%
12.85 4.17 15.97 11.56 91.3%
12.83 4.63 15.96 12.50 93.7%
平均 93.7%

 

メーカー製品を同一測定法でテストしてみました。中国製汎用品です。
SZパーツ SRG4215
昇圧型DC-DCコンバータモジュール 8~32V → 9~42V 最大入力15Aとの事

MC34063,TL2843B,78L09などのチップパーツが確認出来ます。ローコストでもまともな作りの製品です。
5A位から発熱はあり、10Aではファン必須です。直径22ミリのトロイダルコアです。このサイズで10A以上可能なのは少し驚きました。

 以上で10A級走行充電用DCDCコンバーターは完成です。これをベースにシステムとして完成を目指します。
  
コンバーターと制御部【昇圧 定電流定電圧走行充電システムの開発経過】 
以下 開発順
 昇圧DCDCコンバータ-汎用10A級
 昇圧DCDCコンバーター走行充電ハードウェア制御 TC20A
 昇圧方式サブバッテリー走行充電システム  Ⅱ  定電流定電圧方式
 昇圧方式サブバッテリー走行充電システム  Ⅲ  簡易版定電流定電圧方式、&汎用昇圧コンバーター
 昇圧方式サブバッテリー走行充電システム  TC10A PIC版 (開発完了2014年5月)
 昇圧方式サブバッテリー走行充電システム TC10B 入力電流マイコン制御
 昇圧方式サブバッテリー走行充電システム TC10C 同期整流方式マイコン制御
 昇圧方式サブバッテリー走行充電システム TC20C 同上20Aパワーアップ版
 ブログにその他TL494等を使用したもの、LTC3780EGを使用したものなどを掲載しています。


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