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SLEVERY H・M・C
 POTC40昇降圧ハイパワー走行充電器の製作
ローコストハイパワー40A走行充電器
 LTC3780基板モジュールを3パラ接続、ハイパワー制御機能付き走行充電器を作ります。
開発過程、経緯はブログで公開しています。
POTC40 Rev01 2022/10/19 試作完成です。
 昇降圧DCDCフルブリッジコンバータLTC3780チップを使った市販ボードを3枚並列接続によるパワーアップの試みです。
 採用した市販ボードは最大14Aとされておりその実力を発揮できれば14*3=42Aのバッテリー充電能力となります。

同一サイズ、同一性能?で QFP24パッケージSSOP24パッケージが混在します。SSOP24はチップ交換が楽です。発売開始から年月が経過しておりいずれ廃版になるかもしれない。SSOP版はAmazonからは姿を消した?ALixpresu現時点最安まだ購入可能である。なお電流制限VR付きは5A程度とパワー不足で不可。輸入電子部品は高騰し、春先からの円安ダブルパンチで50%程値上がりしている。

 
昇降圧コンバータの必要性
  • 降圧充電領域はリン酸鉄リチュームイオンバッテリーの充電には結構その動作領域が長い事が解ってきた。私のエブリイは非充電制御車であり平均オルタネータ電圧は14.2V。充電初期から充電後期近くに至る領域は降圧モードとなる。必要性としてはこれに尽きる。
  • TC20Cでは降圧領域はコンバータの前段に置いたパワーFETによるレギュレータ制御により対応しているがその制御相当分は損失となり効率は悪化する。発熱の要因となる。
ハイパワーの必要性
  • リン酸鉄リチュームイオンバッテリーは大半1C充電可能であり、1時間充電が可能なバッテリという事。限られた走行時間で大電流高速充電に対応したい。
  • 50Ahバッテリーでは放電下状態から40A充電が可能なら75分で充電可能と成る。100Ahバッテリーでは2時間30分で充電可能。
POTC40は 
 
複数のLTC3780ボードに制御ボード、接続ボードによる構成で、単体ボードに無い機能を追加し、同時にパワーアップを実現します
  • LTC3780ボードの並列接続 制御基板と接続基板の構成でパワーと機能をアップする。
     
  • 起動電圧 ACC電圧が13.0Vになり3秒継続すると充電開始とするボードを並列使用する(可変調整可能)
       
  • 低電圧保護 入力12.0V以下になるオフとする。(可変調整可能)
     
  • 入力電圧低下保護 入力11.8Vでオフとする。(可変調整可能)
     
  • 温度制御 設定した温度で冷却ファンをオンオフする。(強制on切替可能)
      
  • 高温保護 設定した温度に上昇するとコンバータオフとする。(可変調整可能、過昇シャットオフ)
     
  • 各基板の個別動作 基板毎のオンオフスイッチを設置した事によりパワー3段階を選択可能とした。個別チェック、電圧調整も可能と成る。
     
  • 基板毎の出力シャント抵抗を出力基板上に設置。チェック端子でボード毎の動作電流のチェック可能。
     
  • LiFePo4バッテリに最適ローコスト、ハイパワー、高機能
     充電初期からの降圧領域での最適化を実現。後期では昇圧モードでの充電を実現する。

最大3枚の市販DCDCコンバータの収容。並列接続用接続基板とコントロール基板を作る

  • 既に2018年12月に試作したTC10EはLTC3780チップを使用した走行充電基盤については30Aを目指したが開発を中止した。このボードは20Aは問題なく動作した。これを3基並列する案もあったが、価格的なコストアップは避けられない。
  • LTC3780チップはこの企画に於いては最適であると思います。
  • そこでLTC3780を使用した低価格市販コンバータボードを並列使用する事にした。
     
  • 単純に入出力端子を並列接続して使用する事も可能と思われるが起動の問題、各種保護動作が必要な事などを考え各ボードを収容する基板と制御する回路基板を製作する事にした。
     
  • LTC3780コンバータの並列接続について問題は?
     ネット情報による文献では並列接続は適していない。限られた範囲での動作条件で逆流が発生する可能性があること。
    これは実際に試作し、様々な条件下で問題が発生しない事を確認し、検証する。

基板のレイアウトなど 
  • 3枚の基板を横置き、3段の階層構造とする。当初は平面横置きと考えていたがスペースをとる事、冷却ファン設置などの効率を考え、3段階層構造とした。
  • 上記画像の様に左右に入出力接続基板を配置し立体化構造とした。
  • 冷却ファンは3枚の基板に対し1個で対応する。8~10cm標準ファン(3台分なので風量の多いものが必要となる)
LTC3780ボードのチューニング
    基本的には行わないが下記については必要性があるものは実施する。
  • 出力電圧の微調整 1mVレベルで揃える必要がある。
     VRに抵抗追加し可変範囲を狭くし1mVレベルで可能とします。この改造は簡単であり必須です。
     
  • 試作段階でボードの性能バラツキが見られた。電流制限抵抗10mΩ+50mΩが基板にレイアウトされており。40mΩを追加し電流制限ポイントを僅かに上げて統一する。過大な変更は焼損等の恐れあり。
     
  • SSOPとQFPパッケージの違いがある。購入時どちらかに統一する事。
     
  • トロイダルコアインダクタは16Tと18Tの製品が混在しており16Tに減巻統一する
     巻き数2T減で16Tとする。それほど難易度は高くない。
      
  • 4個のスイッチングFET 交換不要と判断しました。変更動作確認しました。
     オンボードより1/2低Rdsに交換してみたが発熱低減等殆ど効果は見られなかった。
     その他必要以上の改造は安全性が低下します。
     
  • 以上の目視レベルで判定できない正常動作の個別確認は組込前に行う。
     安価な中華製20A電子負荷装置が便利です。但し過負荷に注意!ボードFET、3780チップが壊れます。

      
POTC40制御回路図
POTC40コストハイパワー40A走行充電器

POTC40接続基板回路図
POTC40コストハイパワー40A走行充電器
ショートチップ1、2 各機能のオンオフ
温度制御調整 VR1(R10-openFAN連続)高温オフ
起動電圧調整 VR4
充電停止電圧調整 VR3
低電圧保護調整
VR2
ファン 風量が多く冷却能力に優れたもの。92*92 12V標準ファン
ACC 車両のACCライン電圧を充電開始電圧にする。
制御ボードの消費電流は約9.0mA

EN端子の説明
 オンオフはEN端子の動作電圧で行います。0Vではオフ。6V程度でオンとなります。TTLレベルでの制御を想定していると思われます。開放状態ではオンとなります。制御ボード上に強制オフSW(スライドSW)をそれぞれ3個設置し電圧調整時や個別動作が行えるようにしました。
動作状況のLED表示
 制御基板上にEN1-LED、 EN2-LED、 EN3-LED、 調整LED、 PowerON-LEDを設置し、動作状況が確認できる。
ボード個別の動作電流のチェック
 
出力側接続基板に2mΩ2Wの電流検出用チップ抵抗を配置し2Pのチェック端子を設けているので電流バランスのチェックが可能。
制御基板完成基板
2個のショートチップは高温シャットダウンと低電圧保護の有効、無効の切替。調整時などに使用する。
左右接続基板との接続は6Pソケットで構造強度を確保。
POTC40制御基板
接続基板入力側
制御基板との接続は6PL型ピンヘッダー
POTC40接続基板
 接続基板出力側
制御基板との接続は6PL型ピンヘッダー
2mΩ2Wの電流検出抵抗を基板毎に設置、テストポイントで電流測定。基板毎テスター電圧測定でチェック出来る。10Aの場合は20mVとなる
POTC40接続基板
LTC3780ボードの改造
チップ抵抗40~50mΩを追加
コイルの巻き数は16tと18tが混在する。
巻き数は16Tに統一する。コンバータとして出力電流重視なら16tとする。銅損は少なくなる。温度上昇も抑えれるか?リップル増加はあまり問題にはならない。販売時の画像で数えると16tの方が多い。
その他LTC3780ボードのチューニングについてはブログに詳細検討しました。
LTC3780ボードチューニング
LTC3780ボードの精密電圧調整
チップ抵抗追加の改造を行う(1/6Wカーボン抵抗でも可)多回転半固定VRに100KΩVRにチップ抵抗0805タイプ820Ωと13KΩを画像の様に半田付け追加する。
対象のサブバッテリーの充電指定電圧14.400V、14.460V等、組み込前に無負荷調整しておく。組込後でも調整は制御基板上のボードオンオフスライドSWでそれぞれ単独動作で調整可能です。
無改造では1mVレベルを合わせるのは困難です。テスターは5桁電圧計最低桁1mV、14.000V として表示できるもの。デジタル電圧計は1000円強で購入出来ます
LTC3780ボードチューニング
組立前に基板毎に入念にチェックしておく事。
事前にボードの調整、必要なチューニングを済ませておき、最下段から組み立てる。
接続ピンは1.2φスズメッキ線を使用。ターミナルのネジ締め忘れ注意!、接続基板に半田付け。60W半田ごて使用。
組立後の不具合や故障基板の修理は分解が必要です。ピンは半田付け後数mm余裕を残しカットすると後日ピンを抜くとき楽に出来ます。ターミナルブロックのネジ締めは十分なトルクで締めておく。
POTC40組立
入出力基板にLTC3780ボードを挿入接続した状態。
LTC3780ボードのLEDはVoutに接続されているので制御基板上の青色LEDが1個であっても動作していないボードの赤LEDは全て点灯する。撤去した方が良い。
必要ならLTC3780の19PinにLEDを追加しても良い。
POTC40
入出力の端子は20A程度なので必ず2sq~3.5sq丸端子接続を2本以上で配線する事。短ければ1.25sqでも良い。
12AWGリード線付のヒューズホルダーを2本使いがお勧め。
POTC40
 動作テスト
 机上でテストは非常に難しいと思います。3基で最大入力電流は50A程度出力電流は最大45A程度となります。
テスト設備が無ければ実際にバッテリを接続しますが、入力電源は3最低50Aの物が必要ですがLTC3780基板を1枚毎オンオフ動作が制御基板上のスライドSWで可能です。14Aで0.5V以下の電圧降下で収まれば成功と言えると思います。実車搭載が可能になります。

20A程度の中華製電子負荷装置が購入出来ますが私はテスト中基板を2枚破壊させてしまいました。原因は過負荷負荷電流です。FET、LTC3780チップをダメにしました。電流制限領域では長時間動作さえない事、電子負荷入力端子100u程度の電解コンを接続する事。強制冷却などのテストが必要です。
 
通常であれば上記の様に50A以上の電源を用意し対象のバッテリー100AH程度を用意しなければなりません。昇圧モードのみのテストであれば入出力に負荷抵抗を接続する疑似テストが行えます。電源は20AでOKです。下記風景です。

簡易測定中。入力電流53.26A 出力電流44.4Aを記録しています。昇圧モード入力電圧12.6V出力電圧14.06V、強制空冷ヒートシンク温度は42℃・ほぼ最大出力 1基当たり平均14.8Aとなる。入力電流は1基平均17.75A。各基板がフルに作動していれば1基当たりの実際の出力電流も3基の和となる。冷却ファンは1基の9cm標準ファンのみです。。
本来はロガーデータでグラフ化する予定でしたが左端のLCDパネル表示の1行目入力電流2行目出力電流です。45A位で飽和した為分流抵抗を入れた結果較正せずに急ぎテストしたものです。この表示の138%アップとなり上記の急遽DCクランプメーターで測定したものです。大電流測定にはクランプ式が重宝します。
基板毎の出力電流は出力側接続基板のチェックポイントTP1、TP2、TP3の端子電圧を測定します。2mΩなので20mVであれば10Aとなります。
40A走行充電器テストデータ
  ブログに1枚だけで50AH リン酸鉄リチュームイオンバッテリーを充電した記事を掲載しています。
 設置について
  • 縦置きは高さ約12~13cmのスペースが必要。横置きも可能ですがファンは上からとし風通し確保す必要があるので高さは12cm程必要になるのであまり差が無い。TC20Cなどの走行充電器より高さスペースが必要です。
  • 端子台への配線は画像の様な12AWGのヒューズホルダー2本を入出力に使用。短くカットし、余った配線をGND配線に使用しました。 
  • 低圧大電流は太く短くが原則です。端子台とサブバッテリー間は短くなる設置場所がお勧め。
  • 下記縦置設置の参考画像。4mmシナ合板(余っていた柿シブ塗料を塗布)上に配置設置しました。(本来は不燃材を使用すべきです)左右5mmネジ端子台が入出力になります。充電オンオフSWはACCラインに接続します。ファンは90mm*90㎜を1個。画像クリック拡大出来ます。
  • この充電ボードユニットの設置場所
     サブバッテリーに近い場所0.3m程度で配線できる場所に設置がお勧め。3.5SQ*2又は5SQ以上の配線で。
     
動作測定  ブログ記事を見て下さい。  
計測 ブログ記事を見て下さい。  
実車テスト 2022/10/23現在未実施 SLE VERY ではオルタ能力不足の為2ボードで近日実施予定です。  
★まとめ
  • LTC3780ボードは昇降圧フルブリッジコンバーターであり、特にTC20Cなど昇圧コンバーターが苦手とする降圧充電領域に於いて損失が少ないので効率が良いです。キャンピングカーなどのベース車両では非充電制御車なのでオルタネータ電圧が高い非充電制御車では特に有効です。リン酸鉄リチュームイオンバッテリーがサブバッテリーの主流と成った昨今では定電流充電領域が長くなりこのLTC3780昇降圧コンバーターを選択する意味は大きいと考えます。
     
  • 当然の事ですが購入時期やチップ形状の違い、などボードごとにバラツキがあります。やはりできるだけ特性が一致したボードを実装する必要があります。今回採用したボードは残念ながら廃版に成りつつある様です。
     
  • 40A以上の連続動作は強制冷却が必要です。冷却不足では温度過昇防止が動作します。多少のばらつきは合っても40A以上での連続動作は可能と思います。
  • 定電圧充電となり、充電電流はボード能力に左右されます。基本的にはLTC3780ボードの合計となります。個別ボードの総合電流調整は出来ませんが制御基板上のオンオフスイッチで個別動作で電流選択が行えます。これにより1C充電が出来る15Ahバッテリからが対象とする事が出来ます。
     
  • ファン温度コントロールはボードの最大出力連続動作となるので充電動作中は常時オンで強制冷却で良いと思います。
     

  • 初めての大容量充電器
    3並列の入力電流は50A超です。エブリイのオルタネータはエアコン使用時40A程度が限度の様です。なので2パラ駆動が限界です。3パラ駆動時はオルタネータの強化が必要です。測定も簡単ではなく現在並行して8ch電流電圧、温度ロガーを開発中。
★pwb領布
 
自作チャレンジされる方でモニターレポート頂ける方に制御基板生PWB、入出力基板生PWBを2022/12末まで無償提供いたします。お問合せ下さい。
 2022/10/20ページUP 2022/12/27記事追加更新

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